ドキュメンタリー映画「核の大地―プルトニウム物語」(監督:渡辺謙一/2015年/84分)
米国、フランス、日本。3国の原子力施設の中でも、使用済み燃料の再処理施設すなわちプルトニウムの生産工場と、周辺住民、自治体との関わりを描く。米国がプルトニウムを原爆材料として発見・生産した歴史。フランスが使用済み燃料の再処理という形でプルトニウムの取り出しを商業化した経緯。米仏の隙間に食い入った日本の核燃料サイクルシステム。プルトニウムを介し日米仏の地政学的関連を検証する。米国ハンフォードでは廃炉作業が30年以上続き、巨大廃炉産業が生まれている。仏・ラ・アーグでは工場脇の廃棄物処理場下から流れ出る渓流に、プルトニウムの汚染が計測される。六ケ所村再処理関連施設は20兆円を越える金額を費やすも、いまだ稼働することができない。日米仏のプルトニウム生産地はいずれも砂漠、半島の突端、半島付け根、都市から離れ厳しくも自然豊かな地にある。映画は、核の大地とプルトニウム工場の風景論でもある。
TERRES NUCLEAIRES —Une histoire du plutoniumé
© ARTE France/KAMI Production/ Seconde Vague Productions - 2015